「イスファハーンのバラ」〜オリエンタリズムに魅せられた作曲家たち

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フォーレの歌曲「イスファハーンのバラ」。
高校の時、初めて聴いた時から、とても好きな曲です。

歌詞は「苔に覆われたイスファハーンのばらも、モスルのジャスミンも、オレンジの花も…(日本語訳)」と始まります。
けだるく、甘い蜜のような香りのする歌です。

異国情緒を漂わせた雰囲気…、他にも、ドビュッシーの「パゴダ」「グラナダの夕べ」「金色の魚」や、サン・サーンスのオペラ「サムソンとデリラ」、ヴェルディのアリア「美しいサラセンの宮殿の庭で」など、ヨーロッパ人にとって、東洋への憧れは、数々の芸術家の題材となっています。

しかし、社会学者の上野千鶴子さんの「<おんな>の思想」を読んでいて、興味深い記述がありました。
「オリエンタリズム」は「東洋についての「西洋のまなざし」」であると前置きされ、要約すると、「オリエントの遠隔性、後進性、ものいわぬ無関心、無気力な従順さ」が、まさに「女性的」であるとしています。

「東洋は女性である。まなざされ、欲望される客体である」。「対するに、西洋は男性、まなざす側、欲望の主体である」。
歴史上の「声なき人々」の中に、東洋は属するようです。

そうした、オクシデント(西洋)の権力・支配関係が、オリエンタル(東洋)に魅せられ、独特の退廃的で官能的な作品の数々を生み出した根っこにある所以と理解しました。
          ※この場合、東洋とは、中近東も含まれます。
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Filed under: 音楽,音楽史 — 12:56 AM
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