As durは、幸せ色の調性か
大人の生徒さんが、福山雅治の「家族になろうよ」を弾くことになり、先駆けて弾いてみた所、オリジナルは、As dur(変イ長調)で書かれていました。
ピアノ譜なので、歌詞はうろ覚えでしか知りませんが、この曲のハーモニーと、メロディーの流れは、優しく心地よく、As dur(アス ドゥア)という調性を選んだ意図が、良く分ります。
語りかける様なイントロの開始や、歌の開始、サビに向かって一旦上昇して下降するフレーズでは、私の持っている楽譜のアレンジでは、ダブルの音(重音)で弾くことになっているけれど、そこがまた素晴らしいと思います。何と言うか、和声の響きが心に沁みる作りになっていますよね。間奏なども、何気ないコードの動きが、優しさを表現しているかの様です。
「曲のタイトルが直接的過ぎて、、」と、ひねくれた事を生徒さんに話したら(笑)、きょとんとしていましたが、その時のご時世と、売れるタイトルというのは、やはり「ある」と言ったら、夢を壊してしまうでしょうか…。
しかし、古今東西…、商業的な音楽も、芸術至上主義的なものも、どちらも、名曲は名曲。生き残る曲には、やはり人の心を捉える何かがあると思いますね。そう思える様になったのは、この年代になってからですが…。
As durは幸せの調と書いたのは、他に、ショパンの「バラード3番」、前奏曲の17番などが、この調性で書かれていますね!調性には、色合いがあり、私にはAs durは、そう感じるのです。
若い頃、先生から、何故か勧められることの多かった「バラ3」。出だしのイメージで、そう決められたんだと思いますが、As durの調性には縁があります。
テーマは、Boy Meets Girl的な二人の対話で始まり、飛翔していき、幸せ色でピュアであるのに、次第に水の精が誘惑して、最後は悪が勝ってしまうという、ミツケヴィッチの詩に元づいた曲。ショパンは、パリに出てから、こうしたポーランド出身の詩人や思想家と、親交を深め、祖国愛は絶え間なかったといいます。
作品番号47であるのに、ショパンの曲の本質である、「叶わぬ憧憬」とか、「過ぎ去った過去への甘美な想い」とかあまり感じられないこの曲。物語性が勝っているのでしょうか。
「前奏曲(プレリュード)17番」も、じんわりとした想いが伝わってくる良い曲ですよね。(第二主題はホ長調ですが。)
ピアニストのコルトーは、24の前奏曲全てに、自分でタイトルを付けてしまいましたが、この17番は、確か「あなたを愛しますと、彼女は言った」だったと記憶しています。コルトーは、文学的な嗜好のあるピアニストですね。
かなり話が飛びましたが、As durの調性は、私は好きです♪
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