オルゴールの音色と、演奏家の奏でる音楽の違い
ずっと以前に、箱根の富士屋ホテルで、電話の保留音に、ゴージャスなアンティークオルゴールの音色が使われていた事がありました。
オルゴール館の様な所は、高原などの観光地に良くありますが、そういう所で販売しているCDには、滅多に、音色の数が多彩なものは見当たらなかったので、凄く探した、1800年代〜1900年の華麗なアンティークオルゴールのCDを持っています。
暑くて、金属的な響きが聴きたかった頃、それをかけていましたが、2日もすると飽きます。
それは、やはり所詮「オルゴール」だから…。
思想が無いのです。
試しに、その後、ミッシャー・マイスキーのチェロのCDをかけてみた所、深い音の調べに、心を打たれました。
生徒さん達は、どう思うだろうと、最近レッスン時に、良く比較して感想を聞いています。
小学生から高校生まで、一様に、しっかりした考えを述べてくれました。
「オルゴールは、天国的に綺麗だけれど、人の奏でる音楽は、豊かで、その人の深い感情が込もっている。」「情景が、浮かんで来る様である。」「タンスの様に大きなオルゴールから、聴こえてくる音は、綺麗だけれど、生身の演奏は、一人の人間の独白の様で、真に迫って来る」「マイスキーのCDの方は、演奏が、内側を向いていて、オルゴールは、外側を向いている」
生徒さん達は、思いもかけず、立派な耳を持っていて、堂々と自分の感想を述べれる事に、感心しました。
具体的な曲の感想も、的を得ていて、各々が独特の感性を持ち、非常に嬉しくなりました。
思い描くイメージを聞くのも、興味深い面白いものでした。
生徒さんとのディスカッションは、レッスンを一方通行にしない為にも、時に必要ですね。
感想を訊ねる事で、思いがけず、生徒さんの内面に触れた、貴重な瞬間でした。
No comments yet.