安川加壽子記念会〜30年の時を経て蘇る秘蔵映像を観て(聴いて)
先週の24日(金)は、夕方から空きが作れそうだったので、レッスンを調整して、大変気になっていた催しに行って来ました。
30年前の安川加壽子先生の映像による演奏会が、浜離宮朝日ホールで行われており、またしても東京3時間半の短い滞在でしたが、その日を逃せば、あとはいつ聴けるかわからない大変貴重な映像で、私に取って、とても行った甲斐のある演奏映像会でした。昼夜2回の上映との事でしたが、客席は一杯でした。ナビゲーターは、青柳いづみこ氏。
1981年に演奏されたラヴェルの「水の戯れ」やモーツアルトのコンチェルト「戴冠式」、野田暉行作品、1978年に演奏されたショパンのアンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ、子守歌、バルカローレ、スケルツォ4番。
公開録画されたものなので、会場の右に座っても、スクリーンからは、はっきりと、演奏なさっている指を拝見する事が出来ました。
私の先生の先生であられる安川先生の、初めて接する演奏姿。
私は、実はこの会の間中、敬愛する師の美しい演奏姿にだぶらせて聴いていました。
CDでは勿論聴いておりますが、このショパンはCDの録音年よりずっと時を経た、音楽も成熟しききった晩年のもので、スクリーンから映し出される流麗なピアニズムから、何と多くの事を教えて頂いたことでしょう。色々なことが、私の中で繋がった感じがします。
香り立つステージマナーからは、威厳とエレガントさが同居し、「舞台に出て来られただけで、音楽が始まっている」状態で、特に、お辞儀の際の所作の美しさに目を奪われました。
ピアノを弾かれているご様子は、完全に脱力した、付け根からすっと伸びた腕は、指先まで一体に動きが繋がっている様でした。「ポワニエ」の奏法も、見られました。
左手も、右手と全く同等に鮮やかに敏捷な指の動きは、まさに飛び魚の様で、「スケルツォ4番」の中間部では、内声の語りかけが美しく、公私混同なさらない女史の、一見淡々とも見えがちな音楽が、和声的な情感に溢れ切々と歌われたことに感動しました。
お目当ての「バルカローレ」では、前の席の小さな男の子が、飽きて騒がしくなったので、初めての事ですが、「ちょっと静かに…」と注意を促してしまいました。
インタビューを受けられている場面もあり、初めて、威厳のあるお声を拝聴しました。
ヨーロッパ各国のピアノ教育の特質や、安川先生のお考えでは、テクニックは(エチュード等で)身につけてしまって、曲をやる時は、音楽のことをまず考えなさいとのことでした。
ご幼少時に、外交官のお父様のお仕事で、フランスでピアノを学ばれた安川加壽子先生。
無理のない、本当のテクニックを身につけていらっしゃり、これぞ、という演奏でした。
センスの良い艶やかなドレスに身を包まれ、この意義深い上映会は、これからもずっと、私の心に刻まれるでしょう。
長くなってしまいましたが、ここから先は、「門外不出」…、大切にしまっておきます。
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