2015年11月13日
大人の方向け曲のご紹介「ヒースの茂る荒れ地」
ドビュッシーの前奏曲集第2巻の「ヒースの茂る荒れ地」。
スコットランド、泥炭の農耕に適さない土に広がる、ヒースの花。
ヘザー、または、日本ではエリカとも呼ばれます。
静けさの中に、ヒースの香りが匂わんばかり…、そよそよと風にざわめく音も聴こえてきそうです。肝心のヒースの香りを私は知らず、その香りがすると言われる、「ハイランドパーク12年」を嗅ぎます。
爽やかにほのかに甘い花の香りがします。
フランス人女性作曲家タイユフェールの「フランスの花々」に出てくる花達より、ハーブ臭はないものの、ハーブ系の香りも漂います。
ヘミングウェイの「移動祝祭日」の中で、パリの街が寒くなったから、しばらく山岳地帯の麓の山荘に夫婦で籠り、帰ってくるとすっかり街は冬に順応し、「良質な薪や石炭が売られ、石炭粉を卵型にこねたものを暖炉で燃やした」というくだりがあります。
おそらく、ドビュッシーの晩年と時期が近い。
彼は、妻エンマの豪奢な暮らしぶりの為、生活費のために、「前奏曲集」をポピュラーな調子(親しまれるように)で編んだのだから、この曲集はよく売れたと言います。
薪を燃やしても煙突そのものが冷えていては、空気の通りも悪く、部屋中が煙に包まれたりする不便さを想像することも、また一興と言ったらその時代に悪いけれども、曲と仲良しになれるかもしれません。
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