ピアニスト上原由記音さんリサイタル

5月30日は、スペイン音楽のスペシャリスト、ピアニスト上原由記音さんのリサイタルを聴きに、上野の東京文化会館へ参りました
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今年、没後100年を迎えたグラナドスの、「ゴィエスカス」全曲と、「わら人形」での演目でした。

「ゴィエスカス」は、グラナドスの最高傑作で、絢爛豪華なゴブラン織りのような、華やかな作品です。スペインもの特有の、華やかな中にも暗い宿命のようなものが漂います。
第一曲「愛の言葉」から、第6曲までの組曲で、難曲で、しかも暗譜が非常に難しいことで知られています。

私は、この曲を20歳の頃に、ルイサダのCDで初めて聴いて以来、好きな曲の一つです。好きだけど手が出せない曲です。

上原先生は、アリシア・デ・ラローチャの薫陶を受けられたというご経歴で、フェイスブックでのご縁で、お誘い頂きました。

ゴヤの絵に出てくる女性の着ている衣装を再現された、ワイン色にバラのモティーフ、パゴダスリーブに、ドレスの丈を少し短くされた美しい衣装をお召しになり、可憐なご容姿と相まって貴婦人のようでした。

第4曲の「嘆き、またはマハと夜鳴きうぐいす」での、美しく繊細なうぐいすの鳴き声の表現、第5曲「愛と死:バラード」や第6曲で、本来のテーマが絶え絶えに回帰される様子など、ハッとする印象深い音色と装飾芸術の輝きを放つ演奏でした
演奏への、前向きなご姿勢が貫かれていらっしゃいました。

ゴヤの描く、愛の駆け引きにドラマ性を感じた一夜でした
スペインものは、まだ私にはわからない部分が多いですが

東京文化会館の内装は、原色の赤と黒、そしてゴールド、コンクリートの打ちっぱなしに映える、斬新なデザインです。
演奏会場の内装も、行く先々によって様々な愉しみがありますが、これから始まる「音楽」への予感、ワクワクした気分を掻き立てられ、特にこの日は、演目とピッタリ合っている様に感じ、つい目に留まりました

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ポリーニのバッハ「平均律第1巻」

うふふ、ブログ3つ更したので、遡って読んで下さいね〜(私は6日のがheart04.gif気に入ってます

近所で、取り壊しばかりやっている為、朝からなにやらうるさいので、先日買ったポリーニの2009年録音の平均律のCDをかけてみましたhappy01.gif

さすがに透徹された明るい美しい音shine.gif!「音色そのもの」に一番の関心があるというポリーニ。

楽器そのもののポテンシャルに拘るポリーニの演奏は、観念的な所がなく、ベートーヴェンのバガテルを生で聴いた時にも感じた、まるでイタリアのオレンジの香り漂う様でしたlovely.gif

まあ、イタリアのオレンジの写真は見つからないので、このバかでかいレモンでもcoldsweats01.gif

3番のプレリュードも輝きに満ちて清々しいし、大学1年の時に試験で弾いた18番なんかも(短調嫌いの私にしては珍しい)、プレリュードもさりげなくデリケートで、フーガも作為的でなく、深い物想いが情感があり、流石ポリーニといった名演でした。

ただ、外の工事の音と相まってaries.gif、多声部が絡み合うバッハの音が、やたら音が多く聴こえ、同時におしゃべりな人がしゃべっている様で、聖徳太子じゃあるまいし状態(工事のせい、工事のせい…sweat01.gif)!段々肩が凝って来てしまいdespair.gif、聴きながらブログ書きが出来なかったのが難点

明日の大人の生徒さんは、1番を弾かれるので、一緒に聴きましょ♪

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ペルルミュテールの喜びの島や水の反映のCD

ペルルミュテール
セーヌ河<p>

先日、ペルルミュテールの、手に入らないでいたCDが届きました!
   
注文してから一ヶ月も待っていたので、きりんの様に首を長くして待っていたのです♪

バッハのイタリアンコンチェルトや、ドビュッシーのピアノのために、映像I、喜びの島、ショパンのマズルカ、タランテラが入っていました。

私は、ペルルミュテールの弾く喜びの島がお目当てで買ったのですが、驚いたのは「映像」の「水の反映」でした!

ピアニストによっては、あまり映えない感じも受けるこの曲を、文字通り瑞々しく美しい弾けんばかりの水の描写!!

79歳から82歳にかけての演奏とは思えません。

ペルルミュテールは、近代の作曲家モーリス・ラヴェル直々に、ラヴェルの全曲を教えを受けに、はるばる何時間もかけてレッスンに通ったtrain.gifということが知られていますね。

ラヴェルの演奏も、勿論、決定版のように素晴らしいですが、モーツアルトや、ショパン、ベートーヴェン、ドビュッシー、フォーレの演奏も録音しています。

奇を衒った所がまるで無く、音色は品格が溢れ格調高く、構成感がしっかりしているピアニストです。

良く知られた方の中では、ピアニストの横山幸雄さん(辻井くんの先生)が、ペルルミュテールのご存命中に教えを受けたくてパリに留学し、ジャック・ルヴィエにもみて頂きながら、師事する幸運に恵まれたそうですね。

それにしても、このピアノの音はなんだろうconfident.gif

私のお気に入りCDがまたひとつ増えました!

アンドラーシュ=シフのベートーヴェン

今夜(8月12日)は、21時過ぎからゆっくりする時間が出来たので、まだ聴いていないシフのベートーヴェン後期のCDを聴くか、はたまた、鶏ガラの出汁を煮込むか、読みたかった本を読むかのどれかにしようと計画していました。何せ、明日は、お盆の入り。。。今日も花市などで「ほおずき」を売っている情景を目にしたり、お盆一色でしたので、明日の夕方までには、ご先祖様をお墓からお迎えに行かなくてはならないし、今日までが、静かに浸れる時間と思ったからです。

今夜、21時過ぎの時間、3択肢で迷う程もなく、あっさりと、シフのベートーヴェンの後期のCD鑑賞へ!あまりにも感動し、他の選択枝は瞬く間に消えてしまいました。シフが、近年、ベートーヴェンの全曲演奏に取り組んでいることは周知のことでしたが(しかし、40代で決意し、『学び終えた』と記述しているのは、その十年後sign01.gif)、後期のソナタのCDを聴いた今夜、私は、興奮せざるを得ない心境になりました。

私の好きな(と申しては失礼で、「敬愛する」と申した方が適切な、ベートーヴェンの後期のソナタや、ショパンのバルカローレ、ドビュッシーの喜びの島(学生の頃〜弾きましたが、あまりにもガキんちょで歯牙にもかからなかった…)や、今後弾きたいプレリュードの数曲、そしてフォーレの50代以降の作品)などの曲は、どうしても身の程知らずか、その作曲家の円熟期か後期の作品に集中してしまいます。

しかし、弾きこなすのは無理でも、「共感」しない事には、品の理解は到底及ばないですし、弾く意義も無いと思われます。そういった意味でなら、私は、少なくとも、おおいた作品を選んで、人生の限り在る時間を使うことに喜びを感じております。(しかし、更に、作曲家がそこまで到達した軌跡を辿り、自分との乖離を狭める意味では、もっと若書きの作品を勉強する方が、自分に無理が無い、と考える様になりました。)

母校の客員教授でした故・ゲオルグ=ヴァシャヘーリ氏の演奏会で、(当時90代でした氏の演奏に接して)得た感動が大きくて、その後、エドウィン=フィッシャーなどの演奏をCDで聴いても、凌駕する演奏に巡り会わなかったのに(録音状態の問題もあります)、今夜、素晴らしいシフの演奏に出逢ったことは、大きな幸せでした!又、プログラムノートにありました、ベートーヴェンの直筆楽譜。3楽章の「嘆きの歌」など、到底、私の理解に及ばなかった領分が、弾く上で、知らぬ間に少なからず共感出来ていました。

オペラ「椿姫」の3楽章のアリアでしたか、或る漫画で『この場面を表現し尽くす為に、そういう経験を敢えて持ったか』は、定かではありませんが、去年の私より、今年の私の方が、曲への理解の乖離が少ないというのは、芸術を志すものの、習癖なのでしょうか。。少なからず、人生経験に因るものです。

それにしても、シフ程のピアニストが、op110、op111のソナタにあまりにも敬意を払っていたため、「一体、こんな曲に手を触れて良いものか」と、若い頃、べートーヴェンを意識的に大きく迂回していた、と言う事実に、偉大すぎる芸術への謙虚な姿勢に大きく学ばねばなりません!

又、私は9月の、ハイドシェックのリサイタルを聴きに行きますが、何故、コルトーを初め、「子供の領分」をレパートリーにするのかの意義を感じて来たいと思っております。
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