学校で伴奏者になるために求められること


少し前に、他教室から移って来られる生徒さんから、伴奏者になりたいとの要望をお聞きしたので、私なりに、「学校で伴奏者に選ばれるには」と考えて見ました。 

求められる条件

まず何より、楽譜を音楽として見渡せ、指使いなど含めて、誰の手も借りず譜読みしていく能力、
(この段階で、学校の先生は、安心して「お願いね!」と楽譜を渡せます。)
空間を把握しての音の響かせ方(体育館、音楽室、クラスの大人数に対抗できる(!?)音量の把握、会場の後ろの席まで音が良く通る(響く)こと)、
ペダルの使い方(にごらず踏める、適切な箇所で効果的に踏み換えられる)
大きな音とは、身体の力を抜いて出すものだと知っている。身体の使い方。
パートを聴き分け、合唱と一緒に息づかいが出来る、
前奏から合唱が入る際の誘導、また間奏でピアノだけになった際、前面に出たり背景になったりする判断。
様々な要素が求められますが、伴奏を経験した皆が、口を揃えて、はっきり気がつくのは、「責任」です!
一人で弾くのとはまた違う、何十人何百人の歌声のための「伴奏」。
卒業式などの式典は、厳粛ですし、ミスに関しても責任を伴います。
うっかりしてズレちゃったなどは出来ません。

私の小中高の経験

私自身の経験でも、小学校の卒業式で、子ども心に「絶対、ミスは許されない!良い演奏をしたい」と強く思ったものですし、合唱コンクールの伴奏の際は毎年、枚数の多い伴奏のわら半紙をじゃばらに貼っても、譜面台に置ききれず工夫したことを思い出します。
伴奏者賞をいただくのは、クラスが優勝するのと同じくらいとても嬉しいものです

式典と合唱祭、難易度は

式典の曲よりも、合唱の曲の方が、長くて難しいもののことが多いです。オクターヴ、多くの和音を掴む奏法がたくさん出てきます。

生徒さんの活躍

他県に離れた生徒さんも、3年間、中学で合唱祭の折に伴奏者として活躍したことや(小6でシャブリエの「スケルツォ=ワルツ」を弾いていました)、
社会人になった生徒さんも職場のクラブで毎年伴奏を引き受けていることなどを、お年賀状で綴ってくださっています。

の中ほどの、ピンク枠の箇所にも、多くの生徒さんが、小学校高学年から頼まれたり、学内のオーディションで選ばれ、中・高までずっと伴奏者として活躍していることを述べました。

伴奏者に選ばれる際の目安は、上に記したようなことができるかどうかです。
普段から、基礎力、音楽的な総合力が身についているかが鍵であり、それらは、普通に曲を楽しんで仕上げるなかで身についていくもので、伴奏のためにやることではないのです。

目安は、

私の生徒さんのなかで、高学年になるよりずっと前に伴奏を任されていた生徒さんがいます。
その子を思い返してみると、小3で、ランゲの「花の歌」、小5でショパンの「華麗なる大円舞曲」、中1から中2で「幻想即興曲」を発表会で弾いていました。
コンクールで良い成績を修めるようなお子さん達も、伴奏者になることは多く、「空間のなかでの響かせ方」が得意です。

レッスンでは、

いずれの場合も、レッスンでは遠慮がちに、「伴奏見てもらえますか・・・」と持ってきては、よくここまで自力で譜読みをして音楽にしたと感心したり、「オーディションがあるから心配で」という割に、ばっちり弾けていたり、「断ったんだけど、この曲も頼まれちゃった」と、学校の伴奏者として信頼され、ピアノが自分の特技であると再認識して嬉しそうです。

伴奏の曲は、自分で一曲をまとめられるだけの力を、(中学年)高学年までにつけたいものですね!